緊急帰国

3/30

普通の日を過ごす予定だった。といっても不要不急の外出は避けるようにと指示が出ているし、街もほとんど閉まりかけていたし、今日から家族以外での集まりは2人までとするなんてルールも追加され、公園なども封鎖になって、普通の生活とは言い難いものだったけど。

それでもネガティブに捉えず、このなるべく外に出ては行けない期間を自分のプラスになるように考えて、英語の本を読み進めたり、ヨガや筋トレを毎日しよう!と意気込んでいた。

 

4/11のフライトがキャンセルになった知らせが届いて、やっぱりと思った反面、いつ帰れるんだろうと不安にもなった。でも5月末まではビザもあるしな…と思いながらもそれまでに飛行機が再開しなかったらどうしよう、働くのも感染しそうで嫌だし、外にも出れない生活で、家賃や生活費で支出はコンスタントにある。

ビザの心配の次にお金に関する不安のストレスもあった。さすがになくなることはないだろうと思っていたが、支出だけ増える生活はストレスだったし、それに終わりが見えないならなおさらだった。

それでも自分にはどうしようもできないこと。今一番やるべきなのは、変に落ち込まないことだと思った。

 

いつも通り学校に行こうと思っていたが、なかなか気が進まない。でも来週からはオンラインに切り替わるし、お金を払ってるんだから行けるうちは行っておきたいと思い、なんとかその気にさせ向かうことに。

玄関へ向かうとシェアハウスのオーナーに出会わせた。オーナーが貸し出しているシェアハウスに住んでいる日本人はみんな帰国してしまった(しまうらしい)。そこで自分の便がキャンセルになったのでもう少し滞在したい旨を伝える。とても親切なオーナーでみんな大変だからと理解を示してくれるのがありがたかった。

 

家を出てすぐ、みんなどうやって帰るんだろう、帰れる便があるのか?自分の検索が甘かった?と思い、なんの気無しにまたスカイスキャナーを開く。今日の便なんて見ても意味ないのになぜか検索し、しかもANAの休止前の最終便がそんなに高くない金額で表示される。約1週間前くらいは$5,000超や40数万円くらいしていた。そんなに払うならレント払ってステイしてたほうがいいと思い、そのときは買わなかったが、今日は9万弱。これなら買える。しかもANAなら直行便だし信頼度が高い。とりあえずANAのウェブサイトでチケットが本当にあるのか確認する。

実はここ最近のスカイスキャナーは実際にはなかったり、運休予定の便も上がってきていたので確認が必要だった。ANAのページを見てもどうやら空席があるらしかった。思い切って予約に進もうとすると、6時間以内に出発予定なのでネットからの予約はできないと。少し迷ったが、これで帰れるなら帰ったほうがいいのではと思った。こんなに急な決断は今までしたことがなかったが、今は悠長に悩んでいる時間はない、冷静かつ迅速な判断が求められる時だった。

いつ収束するのか先の見えない状況。明日のことでさえ定かではない。飛行機もどんどんと運休が決まり、運休期間だって延期になる可能性だってある。外に出れない環境に加え、収入なしで支出は増えていく一方。だったら日本にいたほうが、家はあるしご飯だって食べれる。家にいなければいけない状況は同じ。正直ここ最近日本の状況や政治を見るようになって、日本嫌だなと思っていたのが正直なところだったが、それでも母国、自国。オーストラリアに滞在するのはビザも必要。その心配も日本にいればない。帰るなら今しかないんじゃないかと思った。いろんなタイミングが重なって、今目の前にチケットが取れそうな状況にある。もし一つでも違っていたら、今この状況にはない。調べもしなかっただろう。

そして意を決して、電話で確認してみることに。もし無理なら無理で諦めよう。そう思いながら。チケットはあるとのこと。しかしウェブを通しての予約は6時間以内のため不可。そして電話決済となった場合、パース空港がそれを受け入れてくれるのか確認が必要とのことだった。折り返し電話が来てOKとのことだったので、すぐパッキングに取りかかった。

 

家を出て学校向かおうとしてオーナーと話をしてから、この決定まで約30〜40分。我ながらすごい。しかも出発まで5時間。3時間前はきついから2時間前に空港と思い、残る時間は3時間。移動もあるので2時間から2時間半ほど。荷物が多いパッキングだったが無事にパッキング、いらないものはゴミ、そして使えるものは友達に。

友達が空港まで送ってくれた。バタバタの緊急帰国。正直飛行機に乗っているけど急すぎて実感があまりない。

結構いろいろ考えた上でこれが最善だと思い、短い時間で決断。我ながらよくしたと思う。それでもこれでよかったのか…と思ってしまわないわけではなかった。が、SNSで報告すると、いい判断、最善の策だと言ってもらえて気が楽になったし、気をつけて帰っておいでって声もたくさんいただいて、心配してくれる人がいるんだなとほっこりした。

 

前日や当日はどのドローンを買おうか迷っていた人が、直前までは学校行くか悩み、数分後には5時間後にここを出るかと悩み、さらに30分後には決断するという物語でした。

 

早くこのパンデミックが収まりますように。みんなで協力できますように。